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2010.03.01(Mon)
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Nikonのデジタル一眼レフ「D90」と「D5000」を詳細に比較してみた

Nikon D90とAF-S DX NIKKOR 16-85mm F3.5-5.6G ED VR
立て続けにカメラボディを買い漁り果てにはNikonの中級機「D90」を買ってしまった男の話を書きましたが、以前にもデジタル一眼レフの購入相談を受け、その時は予算ありきだったので「D90」とエントリー機「D5000」の比較して、好きな方を買うべしと返答しました。

結局「D90」に傾倒して購入したのですが、その時にアドバイスした「D90」と「D5000」の比較をまとめてエントリーとして書き上げてみました。いわば「D90」VS「D5000」の購入指南(らしいもの)です。

中級機とエントリー機の違い


まず、「D90」と「D5000」の比較に入る前に、中級機とエントリー機の違いを簡単に述べてみます。
一言で言ってしまうと、エントリー機は文字通り入門用。中級機はもうちょっとレベルが上と捉えてもらえば良いでしょう。一部逆転することもありますが、中級機の方がエントリー機より性能・機能ともに勝っています。

ニコンの場合は中級機やエントリー機ほど新しい機能を搭載する傾向がありますが、エントリー機の方はハードウェア部分(ファインダーとかバッファメモリーとか)のコストを抑えられているのが一般的なので、総合的な性能では中級機の方が上です。

サイズはほぼ同じ。重さD5000の方が軽い


最初に大きさとサイズの比較です。「D90」は約132×103×77mm (幅×高さ×奥行き)で、約620 gで「D5000」は約127×104×80 mm(同)で約560 gです。
大きさは幅で5mmほど「D90」の大きいですが、意外なことに高さ、奥行きは「D5000」の方があります。重さの差は40gと些細ですが「D90」の方が重いです。

実機を手に持った感じだと「D5000」の方が小さく手にすっぽり収まる感じです。「D90」の方がグリップを「握っている」という感じがします。もちろんこの感覚は個人差がありますが。

「D90」と「D5000」の発売時期


「D90」が2008年9月とやや古く、「D5000」が2009年5月と新しい。発売時期は半年以上の開きがあります。デジタル製品の常として新しいものの方が技術革新、最新技術の恩恵を受けられ機能的に勝っている点が多々あります。

ただ、そこは中級機とエントリー機なので商品戦略上の差別化のために機能差・性能差があります。この点については各項目毎に後述しますね。

「D90」と「D5000」に撮像素子の差は無し


「D90」と「D5000」に搭載している撮像素子は共に1,230万画素のCMOSセンサー。恐らくは同型だと思われます。
サイズはAPS-Cサイズ相当。ニコンでいうDXフォーマットです。
(ちなみに35mmフィルムと同じサイズはフルサイズ、ニコン用語で「FXフォーマット」と言う。このフォーマットはD3、D3x、D700とかの上位機種に搭載)

ついでに言うとDXフォーマットのフラッグシップ「D300」「D300S」も基本的に同じCMOSセンサーが搭載されているそうです。ただ「D300」「D300S」用にデータ読み出しが高速化するカスタマイズがされているそうです。

「D90」と「D5000」のファインダーは「D90」に軍配が上がる


中級機とエントリー機で最大にコストカットの影響を受けるのがファインダーです。デジタルカメラの時代になってからは軽視されがちですね。悲しいことに。

ファインダーとは要するに覗き穴です。レンズを通してミラーに反射した被写体をみるための光学的な穴ですね。折角一眼レフを買うのだから、背面液晶だけではなく是非ファインダーで被写体を捉えて撮影して欲しいです。

ファインダーには「視野率」と「倍率」があって、視野率とはフィルムじゃなかったセンサーで写せる実際の画像とファインダーで見える範囲の比率です。100%だとファインダーで見える範囲=写る範囲です。ですが、視野率100%のファインダーはまず中級機・エントリー機には搭載されません(ペンタックスのK-7が100%視野率のファインダーを搭載した時はビックリしました。Nikonも是非中級機に搭載して欲しい)。

倍率はファインダーに写る被写体の大きさのことです。実際の被写体の大きさの倍率で表記されています。1.0倍だと被写体の実際の大きさ=ファインダーに写った被写体の大きさとなります。もっとも1.0倍なんて見たことないですけど(そんなカメラがあるのかなぁ)。
高い倍率だと被写体が大きく確認できるのでピントの山を掴みやすいというメリットがあります。

で、「D90」はペンタリズム(要するにガラス)で視野率は約96%、倍率は約0.94倍。視野率は中級機としては平均的。撮影倍率はかなりデカイ。ピントの山が掴みやすそうです。

一方の「D5000」はペンタミラーで視野率は約95%、倍率は約0.78倍と相当小さいです。ペンタミラーとは(詳しくは忘れてしまったけど)、半分ガラス・半分鏡という素材で、素材の特製上コストを抑えることが出来る反面、ファインダーを通る光がロスしてしまうのでファインダーが薄暗くなってしまうデメリットがあります。

視野率はエントリー機としてはかなり頑張っている方じゃないでしょうか。昔のフィルムカメラのエントリー機「U(ミュー)」なんて90%そこそこでしたしね。倍率もかなり低いですので、ファインダーでピントの山を掴むのは相当目が良くない限り厳しそうです。

一眼レフはレンズを通った光が結像した像をみるという構造上、ファインダーの性能がファインダーでの視認性に影響を与えます。
ファインダーの比較では明らかに「D90」の方が優位ですね。実際に「D90」のファインダーを覗いた後に「D5000」のファインダーを覗くと針の穴かよと思ってしまうこと請け合いです。
ただ、「D5000」はこの欠点を補うかのように「バリアングル液晶」(後述)を搭載しています。

AF測距点は互角


デジタル一眼レフがコンデジよりも優れている機能の一つがオートフォーカス(AF)の高速性と正確性です。被写体にピントを合わせるスピード(合焦スピード)と狙ったポイントにピントを合わせる正確さは今でもデジタル一眼レフの方が優秀ですね。

どこにピントを合わせるのかの点をAF測距点(フォーカスポイント)と言います。つまりはオートフォーカスが駆動するための「目」になる部分ですね。これが多いほど色々なところにピントを合わせることが出来ることになります。

「D90」「D5000」共に11点と互角。また『画面内の被写体に応じてフォーカスポイントが自動的に追随する「3D-トラッキング」にも対応』しています。

対応レンズはD90の方が優位だが、購入するレンズ次第


ボディの話からは逸れますが、オートフォーカスの関係でちょっとレンズの話題にも触れておきます。

オートフォーカスの性能を語る上で大事な点は、上でも少し書いた合焦スピードですが、最近のNikonのレンズは超音波モーター(SWM)を搭載した「AF-S」タイプのレンズに集約されつつあります。
「AF-S」はレンズに搭載された超音波モーターを駆動してフォーカスポイントにピントを合わせるタイプのレンズで、素早いピント合わせとリアルタイムでAF⇔MFが切り替えられるのが特徴です。

「AF-S」以前(と言ったら少々語弊がありますが)は、大雑把に言うとカメラボディ側に搭載されたモーターでレンズのピントリングを駆動してフォーカスを合わせるタイプでした(Dタイプレンズとか)。つまり、フォーカススピードはボディ側のモーターに依存していた側面が多分にあった訳です。そのためボディによって合焦スピードに違いがありました。

「AF-S」タイプのレンズは、ボディのモーターには依存せずにレンズの超音波モーターに依存しますので、ボディによる合焦スピードの差は生じません(という認識ですが、誤っていたらどなたかご指摘を・・・)。

話を「D90」と「D5000」に戻すと、「D90」にはボディにモーターが搭載されていますので、「AF-S」以外のレンズ(Dタイプ、Gタイプの一部)でもAF駆動ができますが、「D5000」にはボディ内モーターは搭載されていませんので、おのずと「AF-S」のレンズでしかAF駆動できません。

もっとも今後発売されるレンズは「AF-S」しか無い(可能性が非常に高い)ので、古いレンズを使わなければあまり意識をする必要はありません。

「D90」と「D5000」液晶は何を重視するか


最近では動画撮影が出来るカメラが増えてきたので背面液晶を見ながら撮影する用途に使われるようになってきましたが、デジタル一眼レフの背面液晶のメインの役割は撮影した画像を確認することです。
背面液晶で撮影した写真のピントをチェックしたり構図をチェックをすることになるので、液晶の出来栄えは重要です。

「D90」の背面液晶は3型で約92万画素と撮影した画像の確認にはかなり便利です。「D5000」は2.7型の約23万画素とちょっと心もとない。自分も持っているコンデジGR2と同程度の液晶です。液晶の出来栄えからすると「D90」の方が良いといえます。

ただし、「D5000」の最大の特長はバリアングル液晶です。これは相当に利便性が高いです。「バリアングル液晶」とは要するに可動式になっている液晶のことです。ファインダーを覗くのが難しい場合でも背面液晶の確度を変えて被写体を確認しながら撮影ができるからです。

例えば頭上にカメラを持ち上げた体勢で撮影できたり、地面すれすれにカメラを持って撮影できます。例えばお祭りで前に人が大勢いる時にカメラを頭上に上げて撮影したり、寝そべっている猫を撮ったりと撮影シーンが拡大します。ハイアングル、ローアングルでも液晶を見ながら撮影できるのは「D5000」の大きなアドバンテージです。

「D90」と「D5000」のISO感度は気にする差は無し


「D90」と「D5000」は共にISO200~3200までで、拡張設定でISO100とISO6400が利用可能です。

常用するのはISO200になります。拡張設定のISO100を使いたい場合は、絞ってもこれ以上速いシャッターが切れないという場合ですね。ただし、「D5000」ではISO100以下は減感処理となり諧調の滑らかさが失われるそうです。
http://journal.mycom.co.jp/articles/2009/05/08/d5000/003.html

共に絞ってもシャッターが切れない、または絞りたくないときはNDフィルターを使って減光をしましょう。
もう一つの拡張設定ISO6400は非常用ですね。手振れる限界でISOを上げてシャッター速度を稼ぎたい場合とかですね。

最高シャッタースピードは同等


「D90」と「D5000」の最速シャッタースピードは共に1/4000秒。個人的にはエントリー機なのに「D5000」頑張っているなぁという印象があります。

ただ、1/4000秒でも夏の日中でISO100でもシャッターが切れない(明るすぎて露出オーバー)ケースがあります。
レンズの絞りを絞って撮るか、NDフィルターで減光する対処方法があります。絞りを開けてボケを活かした写真を撮る場合はNDフィルターを使いましょう。

ダスト対策は「D5000」が勝る


デジタル一眼レフの最大の難点は撮像素子(CCDとかCMOS)に、レンズ交換の時や通常撮影時の何らかの拍子にホコリやゴミ(総じてダスト)が付着するというもの。このダスト対策があるか無いかで結構メンテナンスが変わってきます。幸いなことに「D90」「D5000」共にセンサークリーニング(ダスト対策)は搭載しています。

ただし、「D5000」は、

ローパスフィルター部を振動させ、付着したゴミやほこりを払い落とす「イメージセンサークリーニング」も装備。D60と同じく「エアフローコントロールシステム」も採用している。ミラーボックス底部に空気流制御穴を設けることで、センサー部への空気流を制御、ゴミ付着の低減を図るもの。
http://dc.watch.impress.co.jp/cda/dslr/2009/04/14/10643.html

となっているの対して、「D90」は、

撮像素子はAPS-Cサイズ相当の1,230万画素CMOSセンサー。D300と同等のスペックだが、省電力関連の改良を施しているという。またD300と同じく、イメージセンサークリーニングを備える。
http://dc.watch.impress.co.jp/cda/dslr/2008/08/27/9083.html

となっています。

「イメージセンサークリーニング」とは「光学ローパスフィルターを振動させてゴミを払い落とす」機能で、「4種類の周波数の異なる振動を加えて付着したゴミやホコリを払い落とします。イメージセンサークリーニングは、電源のON/OFF時に自動的に作動できるほか、メニューからの操作もできます。」ということです。

つまり、「D90」に搭載されているイメージセンサークリーニングに加えて、「D5000」では新たに「エアフローコントロールシステム」を採用していますので、ダスト対策は「D5000」の方が勝っているということになります。

動画撮影は遜色無し


最新のデジタル一眼レフでは当り前になってきた動画撮影機能は「D90」「D5000」共に搭載されています。
しかも「D90」「D5000」共にHD動画(1,280×720ピクセル/24fps)での撮影が可能。最大撮影時間は5分と少々短いですが、飽くまでもメインは静止画撮影なので仕方がないところでしょうか。今後の進歩に期待したいところです。
他の動画サイズは640×424ピクセル/24fps、320×216ピクセル/24fpsで、共に20分まで撮影できます。

動画撮影に関しては「D90」「D5000」に差はありません。ただバリアングル液晶が搭載されている分、「D5000」の方が動画においても撮影可能性は広がるでしょう。

補足


その他、項目別にする必要な無かった点を補足です。
測光方式は420分割RGBセンサーによるTTL開放測光方式で両機とも同じ。測光モードも「3D-RGBマルチパターン測光II(GまたはDタイプレンズ使用時)」、「RGBマルチパターン測光II(その他のCPUレンズ使用時)」、「中央部重点測光」「スポット測光」と同じです。測光に関しては差が無いと言えます。
連射性能は「D90」が最大4.5コマ/秒、「D5000」が4コマ/秒とそれほど差は無いです。

あと、個人的には大事だと思うのがコマンドダイヤル上、ペンタ部右のサブ液晶「表示パネル」です。表示パネルにはAFモード、測光モード、撮影モード、露出補正値、シャッタースピート等の情報が表示されます。ファインダー内に表示される情報とほぼ同じですね。パットと設定内容が確認しているので個人的には重宝しています。
表示パネルは「D90」に搭載されていますが、「D5000」には搭載されていません。「D5000」では背面液晶がその代わりになっています。

その他の点については個人的にはあまり重視していないので、それぞれのスペック表を確認してください。

スペックとは別に一眼レフで大事なのは撮影リズムがあります。これはスペック表ではなく実機を手に取らないと分らない部分です。
シャッター音は「D90」はシャキーンッ、「D5000」はペッシャンという音で「D90」の方が「撮っている感」があります。これが結構大事なところで小気味良いシャッター音が撮る意欲「写欲」を存分に煽ってくれます。
また、コマンドダイヤルの回し易さ、グリップの良さも「D90」の方が手にシックリくる気がしますが、これは個人によって感じ方に差がありますので、飽くまでも自分の個人的な感想です。

まとめ


以上をまとめると以下の通りです。

大きさ:D5000≧D90
重さ:D90>D5000
発売時期:D5000>D90
撮像素子:D90=D5000
ファインダー:D90>D5000
AF測距点:D90=D5000
背面液晶:D90>D5000(画像の見易さ)、D5000>D90(バリアングル液晶)
対応レンズ:D90>D5000
ISO感度:D90≧D5000(ISO100時)
シャッタースピード:D90=D5000
ダスト対策:D5000>D90
動画撮影:D90=D5000
撮影リズム:D90>D5000(シャッター音や操作性。ここは主観)


あえて「D90」と「D5000」の価格差は書きませんでした。この両機を比較検討している人なら、それぞれの価格は既に把握していると思うからです。現時点では「D90」が65,000円前後、「D5000」が55,000円前後と価格差はおよそ10,000円あります。

あとはこの1万円をどう捉えるかです。自分だったらファインダーの切れ、シャッター音、対応レンズの広さ、表示パネルを重視して「D90」を選びます。
ファインダーの切れやシャッター音は撮影リズムに影響するし、表示パネルは今まで使ってきた銀塩の一眼レフと同じ操作性を提供してくれます。対応レンズの広さは既にレンズ資産があり、流用を考えてです。

逆にそれらの点を重視しなければ「D5000」の方が良いでしょう。写真を撮るというカメラの基本的な機能は相当に高いですし、作り出す絵は「D90」と同等に高画質です。加えて初心者にも優しい設計になっています。特にバリアングル液晶は撮影範囲を拡大し、「D90」では撮影出来ない(し難い)絵を切り取ってくれます。

つまり、両機の差異のどこを重視するのかによって選ぶボディが変わってくると言えるでしょう。

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