2008.07.11(Fri)
カメラ好き・写真好きのための超私的コンパクトデジタルカメラの選び方

人生初のデジタルカメラ、RICOH のGR DIGITAL2を使い倒して3ヵ月が経つ訳だけど、更に2台目のコンパクトデジタルカメラを物色している。
何故かというのは俺のツレが英国に1ヶ月程留学するというので、折角なのでナイスな英国の風景やら建物やらを撮って来てもらいたいなのだ。
ツレはあまり写真には興味はなく、もちろんカメラにも詳しくない。「デジカメ買ってあげるから、写真を撮ってきてね。ね!ね!」と、つまりはデジカメを買ってあげる代わりに英国の写真を撮ってきてもらうという魂胆なわけ。
どうせツレはすぐに使わなくなるだろうから、当然そのデジカメは俺が使うことになる。使い勝手、レンズ、操作性、画質と俺が使っても不満を感じないものでなければならない。
その意味ではデジタル一眼レフが最高(D700が欲しいし)なんだけど、そんなものをツレに渡そうものならペンタ部で殴られるのは間違えないので、コンパクトデジカメに絞って考えなければならない。
という訳で色々と検討しているなから、コンパクトデジタルカメラ(コンデジ)を選ぶべき基準のようなものが見えてきたので、独断と偏見に満ち溢れた「超私的なコンデジの選び方」という形でエントリーを書き起こしてみました。
1.携行性が高いこと

携行性とは持ち運び易さのこと。
以前に弟からCanonのPowerShot7を借りていたことがあったけど、正直言ってあの大きさと重さで日常的に持ち運ぶのは難しいなと思う(大きさの比較をしたエントリー)。
コンデジを選ぶ時点で画質はある程度は妥協していると思うし、画質を最重視するのならデジタル一眼レフを選ぶべきでしょう。
画質なんて関係ないよという場合は、なおさら携行性が大事。重い、大きい、嵩張るの三重苦では持ち運ぶのが億劫になってしまい、いずれタンスの肥やしになってしまう。
写真を撮るぞ!と意気込みがある時には、多少大きく重くとも「よし持っていくぞ!」という気になれますが、日常的に気軽にも持ち運べるような携行性が高いものを選んだ方が良いと思います。
2.手振れ補正があること
今のコンデジでは当たり前に備わっているけど、GR DIGITAL2には手振れ補正は付いていません。
GR DIGITAL2はF2.4とコンデジの中では最も明るい部類に入るレンズを搭載しているとは言え、薄暗い野外、室内では「手振れ補正の警告マーク」が表示されてしまい、手振れしないように注意して撮影をしなければなりません。これが意外と気を使います。
手振れしないシャッタースピードの下限はレンズの1/焦点距離の言われています。GR DIGITAL2の場合は広角レンズなので1/24と比較的遅いシャッタースピードとなりますが、これでもちょっと気を抜くと手振れしてしまいます。
手振れ補正が付いていれば、撮影チャンスが広がるし、手振れを気にすることも減り、撮影のリズムも保てます。
特にズームレンズが付いたコンデジならなおさら手振れ補正は必要です。
3.やっぱり画質も大事
矛盾するように思うかもしれませんが、一眼レフには敵わないと言ってもカメラ好き、デジカメ好きなら画質はあまり妥協したくないもの。画質はメーカーやメディアがWebで公開している作例を観たり、実際のユーザの作品を観るのが一番でしょう。
また、画質は撮像素子のサイズにも関係があります。撮像素子とはCCDやCMOSのことです。いわば銀塩カメラで言うフィルムに当たる部分ですね。
詳しくは書きませんが、撮像素子の大きければ画素数を上げてもノイズが乗り難く画質の向上が期待できます。
コンデジでも、ソニーCyber-shot W300のように大型なCCDを採用した機種があります。作例を見つつスペック表でCCDのサイズも確認するのが大事です。
画質といえばレンズの話がつきものです。個人的にはレンズはあまり拘らなくても良いような気がしています。光学設計を考えると小さい筐体ではおのずと光学設計に限界がありますし、上にも書いた撮像素子のサイズの問題もあります。
また、C●nnonのLレンズ、L●icaの目、Ca●l Zeiss、E●レンズ等々カメラ業界では有名なレンズ銘柄は沢山ありますが、話半分程度に聞いておけば良いかと。そもそも一眼レフのレンズが数十万とかするのにコンデジの価格帯で高性能なレンズが搭載できる訳ではありません。
それでも惹かれてしまうのがカメラ人の性な訳ですが、まっあると嬉しいな程度で良いのではないでしょうか。
4.操作性・性能は妥協しない
カメラ、写真好きなら頻繁に露出補正をしたりISO感度を変更したりするでしょう。コンデジの多くはこの変更がしにくいものが多いです。メニューを呼び出してから階層を辿って変更しなければならない等、この操作のしにくさが微妙にストレスを感じさせます。
この点では、GR DIGITAL2はその点はよく考えられたユーザインターフェースになっています。
またシャッターボタンを押した後のタイムラグの無さ、カードへの書き込みの速さ、WB(ホワイトバランス)の優秀さ、AF(オートフォーカス)の優秀さ、そしてズームレンズの場合はズームの駆動スピードです。
最近のデジカメではシャッタータイムラグは短くなりましたが、中にはまだまだなコンデジもあります。シャッタータイムラグが遅いとシャッターチャンスを逃してしまいます。
カードの書き込みスピードも、撮影のリズムに影響をします。カードへの書き込みが早ければ直ぐに次の撮影に移る事が出来ますが、書き込みスピードが遅いと待たされてしまい、リズムも崩れ、心理的にもちょっとイライラします。
AF(オートフォーカス)の合焦精度、合焦スピードも同様です。そもそも焦点が合わなければ撮影すらできません。
WB(ホワイトバンス)は、撮影の時というよりも撮影した後でPCで写真を編集する手間を減らすためです。

上の写真はGR DIGITAL2でWBを蛍光灯にして、蛍光灯下で撮影した写真です。盛大にマゼンタ被りをしてしまっています。もともとGR DIGITAL2ではマゼンタ被りする傾向がありますが、ここまでマゼンタ被りをしてしまうとカラーバランスの修正が非常に大変です。
コンデジの場合は、WBはAW(オートホワイトバランス)のまま撮ることが多いと思いますが、どのくらい精度なのかよく確認した方が良いでしょう。
露出補正やISO感度変更、シャッタータイムラグやカードへの書き込みスピードは店頭でよく実機を操作して確認するのが一番です。特にスピードやレスポンスの部分の感じ方には個人差がありますので、自分でどの程度だったら妥協できるのか確認をしましょう。
WBの精度は、コンデジ背面のディスプレイでは確認できない場合があります。上のマゼンタ被りした写真も、GR DIGITAL2のディスプレイで見ると正常なカラーバランスの写真に見えてしまいます。
WBの精度は口コミサイトのユーザレビューや実際に使っている人のブログ、ネット系メディアのレビューを読んで情報収集するのが良いでしょう。
5.対応メモリーカードは相当大事
コンデジのメモリーカードは、SDカード、メモリースティック、XDピクチャカードと3つありますが、ご存知の通り最も費用対容量が高いのがSDカードです。
SDカードは多くのメーカーが採用していており、またカメラ以外にも広く普及したメモリーカードなので価格が最も安く、大容量なカードがあります。価格も下がりつづけています。
メモリースティックはソニー機種のみです。価格がネックでしたが最近価格改定を行い、価格が下がってきています。
xDピクチャカードはSDカードと比べると価格が雲泥の差ですし、容量も違いすぎます。xDピクチャカードを採用しているのはオリンパスと富士フィルムだけですが、富士フィルムはSDカードにも対応しました。本当に賢い路線変更でしょう。
カメラ・写真好きならば、容量が大きいファイルで写真を撮ることになると思いますので、大容量で易いSDカードが一番お勧めです。
ソニー製のコンデジを選ぶと自動的にメモリースティックのみになってしまいます。メモリースティックはソニー製の製品でしか使えませんので、本当にソニーのコンデジで良いかどうかよく考えた上でソニー製は選択すべきです。
xDピクチャカードはオリンパスと心中したい方のみどうぞ。自分では絶対に選びません。費用対容量が悪すぎますし、最大容量は未だにたったの2GBです。SDカード、メモリースティックは既に16GBのものが出ています。
6.最後に
デジタルカメラ業界は、カメラメーカー、家電メーカーが百花繚乱ひしめく状況になっています。次から次へと新機種が投入される競争が激しい市場です。
昔であれば家電メーカーの方が家電で培った電子部分、ソフトウェア部分に優位が、カメラメーカであればレンズ、カメラの機械的機構に優位性があると言われてきましたが、今はそれほど差がなくなっているような気がします。
レンズについてですが、キャノンならLレンズ、ニコンならEDレンズ、パナソニックはライカ、ソニーはカールツァイス、そしてコニカミノルタから譲渡を受けたαレンズ、富士フィルムはフジノンと有名なレンズがあります。
カメラメーカーの方が自社でレンズを設計・製造している優位性がありますが、ほとんどの場合はOEM製でしょう。一眼レフのレンズでも低価格帯のレンズは、自社ブランドを付けながらOEMの製品もあります。
カメラ業界に精通している訳ではありませんので、もちろん想像です。コンデジの価格帯を考えると設計は自社、製造はサードパーティと考えるのが妥当な線かなと思います。
撮像素子についてですが、ソニー、キャノン、ニコン、富士フィルムは自社で製造もしています。ただソニー以外は自社製品のみに搭載しています。ソニーはCCDの一大メーカーです。ニコンやキャノンもソニーのCCDを採用した機種を製造しています。
そしてコンデジはカメラという名前こそ付いていますが、実態は電子機械です。レンズから入ってきた光を撮像素子で受け取り色分解し、ハードウェア、ソフトウェアで画像に変換するという処理をしているコンピューターです。異業種ともいえる家電メーカーが参入しやすい理由がここにもあるのでしょう。
自分はカメラ好きなので、コンデジがいくらカメラとは違うといわれても、やっぱりカメラメーカーのものを選んでしまいます。
ニコンは言わずと知れたカメラメーカーです。カメラに興味がなかった子供時代(もう20年以上前か)でもニコンの名前は知っていましたが、最近の子は知っているのでしょうか?
自分はニコン党なのですが、ニコンのコンデジは買いませんでした。
店頭で操作した結果ですが、操作性が悪く、どこにどんな機能があるのか分かり難い。またズームの動作やAFの動作が遅すぎる、シャッタータイムラグはありすぎる、またメニューが読みづらいと個人的に感じたので購入は見送りました。
ニコンは一眼レフとコンデジの操作性は雲泥の差がありますので、もっと一眼レフのノウハウをコンデジに投入して欲しいと切に思います。
キャノンは、まぁニコンを選ぶくらいですからあまり好きではありません。ただPowerShot7を使った経験から言うと、操作はし易く、メニューも分かりやすい、AFの駆動、合焦スピードも速いと軽快に撮影することができます。もっともPowerShot7はコンデジとは言えないコンデジでフラッグシップなので当り前と言えば当り前ですが。
リコーは昔は銀塩カメラメーカーでした。有名なGRシリーズは元々は銀塩カメラのシリーズです。
GR DIGITAL2やR8、そして最近発売されたGX200とランクを分けてコンデジを展開していますが、操作性、メニューがほとんど同じです。他メーカでは露出補正がメニューの深いところにあったりしますが、リコーはボタン操作だけで露出補正をすることができます。
唯一の欠点はWB(ホワイトバランス)の精度でしょうか。あとR8ではAFの精度がそれほどよくありませんね。
ソニーは家電メーカーでありながら、コニカミノルタを買収したので今はカメラメーカーという見方もできます。家電で培った技術とカメラの技術・ノウハウをどこまで融合できているのか、まだ分かりません。
ただCCDメーカーですので、最新技術を投入したCCDを一早く製品の載せられるメリットがあります。Cyber-shot W300がその例ですね。
オリンパスは上にも書いた通りxDピクチャカードがネック過ぎます。micro SDカードも使える機種もありますが、絶対数が少ないです。水中で使えるデジカメがあったり魅力的なのですが、非常に残念です(特許が足かせなんでしょうね)。
ペンタックスはHOYAに買収された際にペンタックスの経営陣が総退陣していますので、今後カメラ事業がどうなってしまうのか不安を感じざるを得ません。オリンパス同様に魅力的な機種がありますが、やっぱり残念です。
富士フィルムはやっぱり画質のよさが定評です。ハニカムCCDですね。FinePix F100fdを店頭でいじりまくりましたが、AFのスポンス、精度も良く、ズームも早くて扱い易いです。
やっぱり気になってしまったのが、露出補正です。メニューから呼び出さないといけないのはやっぱり面倒です。
以上が「超私的なコンデジの選び方」です。まだ買う機種は決まっていませんが、カメラの名言で「迷っているうちが楽しい」という言葉があります。既に2週間くらい迷っているのですが、もう少し迷ってみることにします。
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