2008.11.27(Thu)
パソコン自作は自己責任 ある馬鹿の自作PC失敗の物語

このブログではパソコンの自作のエントリーも幾つか書いていたりするんだけど、そんなパソコン自作な話です。
俺が知っている奴がパソコンのパーツをリプレイスしたいと言う相談をしてきた。曰く「ブルーレイで動画が観たい。」、曰く「RAIDカードがあるのでHDDは6台積む。」。曰く「電源も欲しいんだけど何が良いのか?」等々。
まぁ贅沢満載な要求なんだけど、「RAIDカード」という言葉が出てきた通りそこそこ自作スキルは持っている奴です。いや「だと思っていた」が正しいか。結論から言うとパーツ一式を巻き込んで全部故障してしまった疑いが高い結果になってしまった。
人の折角のアドバイスも聞かずにろくろく情報収集しないからこういう目に会う。まぁパソコン自作の世界は自己責任なのでちっとも擁護する気にもならないのだが。
で、そいつの話をよくよく聞いてみると全ての要求を1台のPCで満たしたいらしい。HDDを6台載せて、ブルーレイが再生できるグラボを搭載してと考えるとかなりエアフローには気を使わなくてはならない。
で、それほどPC自作に詳しくない俺からのアドバイスとしては「まず、HDD6台搭載したPCとブルーレイを再生するPCは分けた方が良い。」ということ。概要は以下の通り。
HDD6台を搭載したPCはストレージPCとして使用して動画を含めた様々なデータをストックして置く。スレージなので高性能なスペックは必要ない。低発熱で廉価なローエンドCPUとオンチップグラフィックで十分。オンチップグラフィックなのは何らかの場合にディスプレイで見れた方が良いから。
常時起動しておく必要は無く必要に応じて起動すれば良い。HDD6台とRAIDカードを搭載する以上は大きい筐体になってしまうが、それは仕方が無い。邪魔にならない机の下とかにでも置いておけばよい。ロースペックにすることによりCPUからの廃熱は少ないが、RAIDカードとHDD6台から発熱し、熱が篭るとパーツの寿命を縮めることになるのでエアフローと廃熱には気を使うこと。
ファンは消耗品なので今使っているケースをそのまま使いまわすなら、ファンは交換して置いた方が良い。
もう一台の方は動画再生を重視した作業用パソコンにする。こっちの方は「ブルーレイ再生」という要求を満たすためにある程度性能が高いグラフィックボードを搭載する。ただ現行のハイエンドは必要ない。高解像度のゲームをする訳でもないんだったら一世代前のミドルレンジでも事足りるかもしれないから調べてみること。
またエンコードをバックグランドで並行処理する必要があることから複数コアで並行処理ができる「Core2 Quad」か「Core2 Duo」をCPUとする。高性能なCPUとグラフィックボードは発熱も多いのでエアフローに優れたケースを選択し、排熱に優れたファンに交換すること。そして念を押したのが定評がある電源を選ぶこと。
質の悪い電源だと電源が故障した時にパーツ一式を巻き込んで盛大に故障してくれることがある。幸いなことに俺はその憂き目には遭っていないが、ネットで少し検索すれば実例は山ほど出てくる。
どうしても1台にまとめたいのであれば、最大限エアフローに気を使うこと。HDD6台、RAIDカード、高性能CPU、高性能グラフィックボードとなると発熱はかなりのものになる。排熱には最大限気を払う必要がある。そしてそれだけのパーツで組むとなると電源は相当に良い品質のものにしなくてはならない。万一の事故リスクを考慮すると当然だ。
そして最後に念押しの念押しをしたのが個々のパーツについては価格コムのパソコン版やconeco.net (コネコネット)を見たり、2chの自作スレを見て入念に情報収集をすることである。選択肢になったパーツが決まればそのパーツで不具合報告は無いか、自分の要求は満たせるかを入念に調べることは自作の世界では常識中の常識。
「初期不良」「相性問題」「不具合」なんて関の山である。メーカー製のPCではないのだから各パーツを調べるのは自分の責任である。自ら人柱になりたく無いのだったら、偉大な先人達の知恵や経験を借りるのは当然である。
で、相談を受けてアドバイスをしてから3日後に何ともうグラフィックボードを購入したと言う。しかもハイドンドの「ATI RADEON HD4850」(メーカー名は聞いてない。聞く気も無くなった)。そして家に持ち帰り既存のPCに装着しようとしたら、RAIDカードに刺さったHDDが邪魔で入らなかったという始末。
この時点で既に馬鹿としか言いようが無い。まず明らかにオーバースペック。ブルーレイ再生だけにここまで高性能な物はいらない。そしてケースに収まるかすら調べていなかったこと。こんなもの定規で計れば直ぐに分かる。
この時点でろくろく情報収集すらしていない。情報収集どころか何も調べていないことが分かる。
「情報調べたの?」と聞くと、「いやあまり調べていない。」と案の定の回答。前に言ったアドバイスをもう一度伝え、これから買うパーツのことはちゃんと調べた方が良いといっておいた。
そして、一昨日「PCが起動しなくなってしまった。」と言ってきた。よくよく話を聞いてみると、「ATI RADEON HD4850」のグラフィックボード、RAIDカード、HDD6台、CPUは「Core2 Quad」(型番忘れた)、メモリ4GBという発熱満載な構成で、無事に起動した後に動画エンコードテストを3時間続けていたらパタと起動しなくなったという。
「電源は何を買ったの?」と聞くと、数千円の安い奴だと言う。「ファンは交換した?エアフローは?」と聞くと、「いや元々PCケースに着いていたもののまま」。こいつのPCケースはもう5、6年前に買ったもので、そのときのファンはとうに寿命が来ていておかしくない。
話を聞けば聞くほど俺のアドバイスは全く聞いておらず、しかも情報収集の「じょ」の字すらしていないことが分かる。ここまで来るともう馬鹿の極みである。
故障事故の原因が満載過ぎてもはや原因特定は困難な状態だけど、取りあえず奇跡的に電源だけが初期不良の可能性があるから電源を初期不良交換しておけと言っておいた。もちろん「電源だけが故障」の訳が無い。俺だってマザーの不具合でCPUとマザーが両方逝ってしまった経験がある。ちなみにこの経験はそいつに話してある。
そして昨日「電源交換したがやはり起動しない。」と言っていた。まぁ案の定な結果である。
「ひょっとして電源の他のCPUとかマザーも同じ店で買ったの?」
「そうだよ。」
「何で一式持っていかなかったの?俺のマザーとCPUが一緒に壊れたって話をしたよね。電源で巻き込み故障する可能性があることも言ったよね?」
「だって重いじゃん。全部持っていくのwwww」
もう絶句ですね。
「電源交換しても起動しないのなら、もうCPUからマザボからメモリから全てを巻き込んで逝っちゃっている可能性があるね。俺、随分前に言ったけどエアフローと電源は重要だって言ったよね?それだけ発熱満載なパーツを詰め込んでエアフローを改善していないし、安い電源で無理な負荷掛けたんだから電源故障で全パーツ巻き込み故障かもね。当然RAIDカードも。」「でも、電源とCPUとマザーは同じ店で買ったんだよね?だったらそのパーツだけ初期不良で交換してもらえば?ゴネればどうにかなるかもしれないよ。俺はゴネるの好きじゃないけど、数万円の損失は大きいだろ?レシート持っていってちゃんと説明すれば交換してもらえるかもよ。何もしないよりもまずは聞いた方が良いでしょ?」と淡々と言ったら、そいつは何と言ったと思う?
「レシート捨てちゃった。」だって。
もうね。頭が痛くて仕方が無いですよ。
秋葉原のどの店でパーツを買っても、初期不良交換の対応期間は何週間とか何ヶ月とか書いてある。2週間か1ヶ月のところが多い。そして必ず「購入時のレシート」と説明書等の付属品を含めた商品一式を持って来いと書いてある。レシートはその店で本当にその商品を買ったのかを示す証拠である。それだけ大事なものをパーツを買って1週間足らずの間に捨てちまうなんてド素人中の素人。いやそう言うと素人に失礼か。ただの救いようが無い大馬鹿野郎ですね。
「あぁ。そう。だったらお店のPOSデータに残っているから、その線で話してみたら?自己責任だから期待は薄いけどね。」とだけ面倒な態度丸出しで言っておいた。
こいつの話を聞いていると「自分だけは事故に会わない。」と思い込んで車で事故を起こす人に似ている楽観的な考えの持ち主だということが良く分かる。PC自作でも「自分だけは大丈夫」ということはありません。不具合や故障、初期不良なんて確率の問題なのだから、当たる時は当たる、当たらない時は当たらないだけ。
こう書くと俺が随分と冷たい人間に思われるかもしれないけど、具体的にアドバイスはしたし、このブログのエントリーでも紹介している不具合、初期不良やファン交換や電源とは全て伝えてある。
ろくに情報収集はしない、人のアドバイスは聞かない、リスクは考えない、その上でこの低落なのだから、もはや救いようがありません。
RAIDカード、グラフィクボード、CPU、マザー、メモリ、電源全部入れて10万円ちょっとの損失かな。ひょっとしたらケースのスイッチ基盤とかも死んでいるかもしれないですね。まぁ良い勉強代になったと思ってお店に無駄なクレーム言って迷惑掛ける前に諦めて欲しいものです。
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