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2009.03.17(Tue)
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マルチに関する話題が人気なので、こちらも1つ体験談を


はてブでマルチ商法に関するエントリーが注目を浴びているけど、読んでいたらそういや自分にもマルチ商法に関する体験があるなぁと思い出した。といっても自分が巻き込まれた訳ではなく、ここまでドラマチックな体験でもないけれど。

「俺ね、5年以内に起業して年収1000万超えるから。」 - 機械
http://machine.livedoor.biz/archives/51174400.html


マルチ商法に関する俺の体験談を書く - sunomononanoの日記
http://d.hatena.ne.jp/sunomononano/20090315

俺が大学浪人をしているころだから、1995年か1996年か。もう10年以上の昔ですね。
当時は茨城の東京に通勤するサラリーマン世帯が住むベットタウンな片田舎に住んでいて、高校を卒業した後に、目的意識もなく形だけの大学浪人をしていた。

具体的に大学入っても何をするのだろうとガキなりに自分の人生を悩んでいた。悩んでいたけれど大学入学に対する目的を見出せずに、一応勉強する傍らバイトしたり、バイトで稼いだ金で遊んだりと、つまり、親のすねをかじりながらどうしようもないダメ人間っぷりを実践していたわけです。

ダメ人間的な生活を過ごしながら、同じく浪人仲間や、大学に通っている友人と時々会って遊んだり、飲んだりして暇を潰していたんだけど、友人の一人に水戸市にキャンパスがある国立大学に下宿して通っている奴がいて、こいつとはそこそこに仲が良く、水戸から地元に帰省する度に友人数人が集まって、旧交を温めあっていた。

そいつが帰ってきたある時。確かこいつが大学1年生で夏が終わるころだったと記憶している。居酒屋でいつものメンバー数人が集まって、他愛も無い話をしてて話題がバイトの話になった。

「今、割が良いバイトをやっているんだよ。コンビニとかこんな居酒屋よりも全然割が良いよ。」と居酒屋の喧噪の中で、こいつが自慢気に語りだす。

「そんなに割が良いの?どういうバイトなの?」とあまりの自慢気に期待を持って体を乗り出して、一同そいつの言葉に耳を傾ける。

「化粧品の販売だよ。これが凄くてさ。その辺りのデパートやスーパーで売っているものよりも全然品質が良くて、一般には流通してないんだ。限られたルートでしか売っていない逸品なんだよ。」

「化粧品を売るの?男のおまえが?幾らで」

俺は男なので化粧品には疎いが、そんな化粧品があるのかという程度にしか思わない。ただ、当時の俺の暗い知識でも化粧品は広告宣伝費が原価の大半を占めていて、本来の製品の原材料費、生産コストの割合は少ないことは知っていた。なので、広告宣伝費を削減する代わりに品質を上げた化粧品を廉価に売るというのは有り得るのかなと考えて、質問をしてみた。

「10万円で。」

「10万円!?高いだろ!」
いくら高品質とは言え、高々化粧品で10万円は高い。いや高過ぎる。とっさに出た言葉だったが、そいつは俺の発言を否定として捕らえたのか、矢継ぎ早に言葉を紡ぎ出す。

「いやいや。10万円といっても高品質だからそれだけの値段で売っているし、実際売れるんだよ。その辺りで売っている化粧品とは違ってて、塗るだけで肌がプルプルになる化粧クリームなんだよ。品質と効果からすると全然高くないよ。」

あまりの熱弁っぷりにちょっと怪しさを感じながら、次の質問をしてみる。

「10万円の化粧品、化粧クリームだっけ。その値段じゃ中々売れないだろ?それにさっき言っていた限られた販売ルートじゃ数もさばけないんじゃない?」

「いや、それが売れるんだよ。俺がこのバイトを知ったのはおまえも知っている高校の先輩のAさんの紹介でさ。基本的に周りの友人のツテを頼って売るか、訪問販売をして売るわけさ。確かに値段が高い分そこまで数は売れないけど、高品質なことを訴えて、頑張れば売れる。」

このAという人物は、高校時代に俺が元所属していた部活の先輩で印象は指導力は欠けているが、水は合わなかったが性格的にはまぁ普通だった。Aもこいつと同じ大学に通っており、そこで知り合ったらしい。
で、肝心の化粧品販売というのは、こちらが言う通り営業努力で売れるといえば売れるということらしい。当時は具体的に「営業」という職種を知らなかったので、そんなものかなと思っていた。

「なるほど。努力次第で売れるってことだな。Aってそんなことしているんだ。で、割が良いって言っていたけど、歩合制でしょ?1つ売るといくらかもらえるってことだから、そんなに割が良いとも言えないんじゃない?」

「そうそう基本的に歩合で、1つ売って●%ってバックされるんだけど、俺に紹介したAさんにも●%バックされるんだ。更に俺が誰かに紹介して、そいつが売ると俺に●%バックされて、更にAさんにも●%バックされる。つまり誰かに紹介して、そいつが売って、更にそいつが紹介した奴が売ると、元々紹介した奴にもバックマージンが支払われて、それが延々と続く訳。つまり紹介すればするほど儲かるわけ。だから割が良いんだよ。」

●の部分の数字は忘れてしまったが、こいつの言葉を聞いた瞬間に、さっきから感じていた怪しさの正体がようやく分かった。そもそも10万円の化粧クリームなんておかしいわけだ。幾ら品質が良くても売価が10万円では買う人は限られる。それに原価やら人件費やらを考えると、まっとうな商品であれば限られた販売網では商売としては成り立たない。

「それってねずみ講だろ。」
「ねずみ講」という言葉は、当時の俺らでも知っていた。インターネットが無い当時でも学校やら新聞でも注意喚起は行なわれていたのだ。

「いや、違うって。まっとうな商売だよ。」
「ねずみ講」という言葉で、自分が誇りを持っているバイトがけなされたと感じたのか、若干興奮気味で否定をする。今まで「バイト」といっていたのに「商売」という単語に差し替えたのが印象的だ。

「だって、一人が紹介して、次の人がまた紹介する、その次の人が紹介して、それが販売に成功すると、次々に支払われるって冷静に考えるといつか破綻するモデルだろ。上の方の層に居る奴は確かに儲かるかもしれないが、その下の層の奴は紹介する奴がいなくなるだろ。それに次々にバックマージンが入るって話だったが、売価10万円でその層毎のバックマージン分を差し引いたら、利益が残らなくなるじゃん。つまりビジネスしてもおかしい構造だろ。」

「いや、そんなこと無いって!本当に健全な商売だよ!」
ああ、こいつ逝っちゃっている。冷静さを失っちまっている。もう完全に向こうの世界の住人だ。とこの発言を聞いた瞬間に思った。
基本的に俺は他人にあまり干渉するタイプではない。そいつが自らの無知でトラブルに巻き込まれても自己責任だろという冷淡な人間だった。なので、この時も「こいつ自身が招いたタネでトラブルに巻き込まれても我関せずだな」と結論した。

その後の会話がどうなったのか覚えていない。こいつと俺の会話を聞いていた他の連中が喧嘩になる前に話題を変えるかして、その場を凌いだのだと思う。

それにしても、茨城の片田舎でもマルチ商法がその根を張っていて、ある程度知識も判断力もあるはずの大学生までもがそんなものにひかかってしまうのは驚きだった。

今であればインターネットで、直ぐにどんなマルチ商法で、どこの会社が悪玉で、どんな商品ということかの詳細を調べることができるだろうけど、当時はインターネットなんて便利なものは無く、携帯電話とPHSがようやく普及し始めたという時代だった。
当然に知識は暗い。信憑性を判断する情報が圧倒的に少ない。調べる術もほとんど無い。そういう時代だった。

その後俺は茨城を離れ、東京の大学に進学することになるのだが、数年後街でばったりとこいつに再会をした。
「おお!久しぶりだな!」と挨拶もそこそこに立ち話をすると、大学を卒業して車の販売代理店に就職したということだった。例のマルチ商法での営業経験が役に立ったのかと心の中で思いながら、気になったので質問をしてみたが、あの仕事は大学時代でもう辞めたということだった。
お互いに用事があったので、次の再開を約束してその場を後にしたが、暫くして風の噂で販売代理店を退職したと聞いた。その後お互いに疎遠になってしまい、もう連絡先も分からない。

以上が、俺のマルチ商法の体験だけど、まぁ最後が蛇足的だったけど概ねこんな感じ。10年以上も前のことも良く覚えているなと我ながら思うが、客観的に読むと大した経験じゃないね。まぁ若くて青春時代真っ只中だった俺には結構衝撃的な出来事だった。

で、ここまで書いて下の記事を読んでいたら、思い出したことがある。

渋谷にアムウェイの人たちがよく集まるカフェがある - ハックルベリーに会いに行く
http://d.hatena.ne.jp/aureliano/20080903/1220429863


記憶が曖昧でいつ、どこでだったか忘れてしまったけど、俺もマルチの勧誘を受けたことがあったことを思い出した。時系列的に上に書いたことの後のことだと思う。

どういう商材だったかはすっかり忘れてしまったが、上の記事にもある通り相手は二人で、ファミレスかカフェだった。片方がトークの主体で、もう片方がサポート役。
まぁ荒唐無稽なストーリーを嬉嬉として、自信ありげに話してくれるので、一つ一つ論理的に打破して、全て論破して「おめーら、こんなことしてたらダメだろ」と最後に説教をくれたら、初めの勢いはどこに、二人とも意気消沈として帰っていた。当然奢らしたけど。

当時の俺は若くて、今よりも向こう見ずで、無鉄砲で怖い物知らずだったから、勢いと勇気があったから出来たことだな。今の俺じゃこう無鉄砲には出来ないかもしれないな。

それにしても、マルチ商法に嵌っている連中と、ベンチャー企業に勤めている連中はどこかしら共通項があるような気がする。多分その「勢い」って奴と「夢がある」ってところが似ているんだろうか。たまに共通して「胡散臭さ」がある奴もいるけどね。
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